客席の暗闇を守る。“最高の観劇体験”を目指す
「博多座」グッズ開発の舞台裏

制作秘話

九州最大級の演劇専用劇場である「博多座」と文具メーカー「デザインフィル」で共同開発した『遮光ポーチ』。2024年9月の発売から、さまざまなメディアに取り上げられ話題になりました。博多座25周年を記念するグッズとして新しいアイテムにチャレンジした裏話などを伺うため、プロジェクトメンバーを取材しました。

開発のきっかけは"博多座自慢のホスピタリティ"

(株)博多座 営業部・平峯さんと黒木さん
(株)博多座 営業部・平峯さん(写真左)と黒木さん(写真右)

───今回の遮光ポーチ開発は、博多座さんのアイデアをデザインフィルで形にしたものだと伺いました。企画の経緯を教えてください。

博多座・平峯さん(以下、平峯) 昨年・一昨年と、博多座の宣伝グループが場内スタッフの手助けになればと、完売公演にあわせて、マナーをよびかける検証動画をYoutubeにアップしておりました。第一弾は「前のめりの方がどれだけ視界をふさぐか」、第二弾が「スマートフォンとスマートウォッチの光がどれだけ劇場内で目立つか」という内容なのですが、いずれも大きな反響がありました。話題になる中で、マナーに取り組む博多座のホスピタリティや意識の高さっていいよね、というお声をいただいていました。
そして2024年に迎えた開場25周年の記念事業として、劇場内で販売するオリジナルグッズをつくることになり、グッズを考えるなら「そこ(=マナーに取り組む博多座)を押し出していけないか」という話になりました。

───なるほど。博多座らしさ、グッズ開発のテーマに「マナー」を据えたんですね。お客さまの体験価値が高まりそうな取り組みです。

───今回の遮光ポーチ開発は、博多座さんのアイデアをデザインフィルで形にしたものだと伺いました。企画の経緯を教えてください。

博多座・平峯さん(以下、平峯) 昨年・一昨年と、博多座の宣伝グループが場内スタッフの手助けになればと、完売公演にあわせて、マナーをよびかける検証動画をYoutubeにアップしておりました。第一弾は「前のめりの方がどれだけ視界をふさぐか」、第二弾が「スマートフォンとスマートウォッチの光がどれだけ劇場内で目立つか」という内容なのですが、いずれも大きな反響がありました。話題になる中で、マナーに取り組む博多座のホスピタリティや意識の高さっていいよね、というお声をいただいていました。
そして2024年に迎えた開場25周年の記念事業として、劇場内で販売するオリジナルグッズをつくることになり、グッズを考えるなら「そこ(=マナーに取り組む博多座)を押し出していけないか」という話になりました。

───なるほど。博多座らしさ、グッズ開発のテーマに「マナー」を据えたんですね。お客さまの体験価値が高まりそうな取り組みです。

平峯 テーマに沿ってグッズの具体案を考えていく中で、スマートフォンやスマートウォッチを劇場内でしまっておける魅力的なものがあればいいのにな、と思ったんです。私が前職でカーテンを取り扱っていたこともあって、「遮光の生地で入れものをつくったらどうか」とチーム内で共有したところ、それいいね!と背中を押してもらいスタートを切ったという流れですね。

───カーテンから着想ですか!点と点がつながるような感覚ですね。

平峯 テーマに沿ってグッズの具体案を考えていく中で、スマートフォンやスマートウォッチを劇場内でしまっておける魅力的なものがあればいいのにな、と思ったんです。私が前職でカーテンを取り扱っていたこともあって、「遮光の生地で入れものをつくったらどうか」とチーム内で共有したところ、それいいね!と背中を押してもらいスタートを切ったという流れですね。

───カーテンから着想ですか!点と点がつながるような感覚ですね。

背景にあるのは、時間・お金・魂をかける「1分も無駄にしたくない」お客さまの気持ち

───遮光ポーチのアイデアが製品化へと進んだのは、やはりお金を払って来ていただくからには最高の観劇体験をしていただきたいという思いからでしょうか。

平峯 おっしゃる通りです。博多座は全国ツアーの最後、大千穐楽の場となることも多いんです。九州近郊からももちろん、東京や大阪から遠征で来てくださるお客さまもとても多くて、時間とお金と…魂をかけて、というか。観劇の時間を1分も無駄にしたくないという強い思いを感じることが多々あります。

博多座・黒木さん(以下、黒木) 25年前、博多座の開業当時は観劇に不慣れなお客さまにもたくさんご来場いただきました。公演中に携帯が鳴ったら出られるような状況で…。観劇マナーについては少しずつ少しずつ、お客さまのお声を頂戴しては学び、一緒に育つということを目指し取り組んできました。

───開業当初からお客さまの声に耳を傾けながら、何ができるだろうと考えられてきての今、なんですね。

───遮光ポーチのアイデアが製品化へと進んだのは、やはりお金を払って来ていただくからには最高の観劇体験をしていただきたいという思いからでしょうか。

平峯 おっしゃる通りです。博多座は全国ツアーの最後、大千穐楽の場となることも多いんです。九州近郊からももちろん、東京や大阪から遠征で来てくださるお客さまもとても多くて、時間とお金と…魂をかけて、というか。観劇の時間を1分も無駄にしたくないという強い思いを感じることが多々あります。

博多座・黒木さん(以下、黒木) 25年前、博多座の開業当時は観劇に不慣れなお客さまにもたくさんご来場いただきました。公演中に携帯が鳴ったら出られるような状況で…。観劇マナーについては少しずつ少しずつ、お客さまのお声を頂戴しては学び、一緒に育つということを目指し取り組んできました。

───開業当初からお客さまの声に耳を傾けながら、何ができるだろうと考えられてきての今、なんですね。

これは絶対すてきなものになる。熱量を同じくしてアイデアを形にする過程

───担当の小林も観劇が大好きだそうですが、博多座さんのご相談をどのように受け取ったのでしょうか?

デザインフィル・小林(以下、小林) アイデアがすばらしいと思いました!「これは絶対すてきなものになる」と思ったので、使命感を持って生地や加工を検討して企画を進めていきました。「遮光機能のある生地は、黒かシルバーの日傘用しか仕入れられない」と分かったときは、どうしようと思ったんですけど。機能性ばかりに捉われて見た目がかわいくないのは嫌だなと思ったので、表はデザインの自由度がある生地でご提案しようと切り替えて、仕様を詰めていきました。

平峯 最初は遮光の生地一枚でとイメージしつつ、何か小林さんのアイデアをいただけないかとご相談していました。そうしたら「裏地でどうですか?表はデザインにこだわって刺繍などもできます」とすぐにご提案いただけたので、ぜひそれでお願いしたいです!という形で。
もともとは弊社の別のメンバーがデザインフィルさんと『観劇ノート』を製作していたのですが、そのデザインもすごくすてきで、こういうデザイン性やセンスをお持ちの会社さんとなら、きっといいものができると思ってご相談させてもらいました。しかも、担当の小林さんは観劇好きだとお聞きしたので、全幅の信頼を寄せながら進めていただきました。ノートとデザインも揃えられて、本当にお願いしてよかったと思っています。

───担当の小林も観劇が大好きだそうですが、博多座さんのご相談をどのように受け取ったのでしょうか?

デザインフィル・小林(以下、小林) アイデアがすばらしいと思いました!「これは絶対すてきなものになる」と思ったので、使命感を持って生地や加工を検討して企画を進めていきました。「遮光機能のある生地は、黒かシルバーの日傘用しか仕入れられない」と分かったときは、どうしようと思ったんですけど。機能性ばかりに捉われて見た目がかわいくないのは嫌だなと思ったので、表はデザインの自由度がある生地でご提案しようと切り替えて、仕様を詰めていきました。

平峯 最初は遮光の生地一枚でとイメージしつつ、何か小林さんのアイデアをいただけないかとご相談していました。そうしたら「裏地でどうですか?表はデザインにこだわって刺繍などもできます」とすぐにご提案いただけたので、ぜひそれでお願いしたいです!という形で。
もともとは弊社の別のメンバーがデザインフィルさんと『観劇ノート』を製作していたのですが、そのデザインもすごくすてきで、こういうデザイン性やセンスをお持ちの会社さんとなら、きっといいものができると思ってご相談させてもらいました。しかも、担当の小林さんは観劇好きだとお聞きしたので、全幅の信頼を寄せながら進めていただきました。ノートとデザインも揃えられて、本当にお願いしてよかったと思っています。

博多座開場25周年記念「観劇ノート」。チラシが入るポケットページ付き。表紙は緞帳の印象的な柄をデザイン。 左:通常版(販売中) / 右:25周年限定版カラー(完売)

できあがった製品はこちら

初回入荷分はあっという間に完売

───発売後はすごく話題になりましたよね。

平峯 はい、ありがたいことにSNS上での反響が大きく、初回入荷分は約1ヵ月で完売となりました。
昨今、推し活でアクリルスタンドを持ち歩かれる方も多いので、その入れものとして使ってくださるお客さまもいらっしゃるようです。中の光を漏らさないために開発したのですが、外からの紫外線もカットするので、アクスタの劣化防止になるみたいです。これはなるほど!と驚きでした。

小林 SNSを見ていたら、劇場に行くときはアクスタやオペラグラスを入れて、公演中は携帯やスマートウォッチを入れて使ってくださっている方がいるようですね。

───発売後はすごく話題になりましたよね。

平峯 はい、ありがたいことにSNS上での反響が大きく、初回入荷分は約1ヵ月で完売となりました。
昨今、推し活でアクリルスタンドを持ち歩かれる方も多いので、その入れものとして使ってくださるお客さまもいらっしゃるようです。中の光を漏らさないために開発したのですが、外からの紫外線もカットするので、アクスタの劣化防止になるみたいです。これはなるほど!と驚きでした。

小林 SNSを見ていたら、劇場に行くときはアクスタやオペラグラスを入れて、公演中は携帯やスマートウォッチを入れて使ってくださっている方がいるようですね。

アイデアが形になり、形になったものが喜ばれる嬉しさ

───平峯さん・黒木さんは、今回グッズをつくってみて、ものづくりの楽しさを感じられた瞬間はありましたか?

───平峯さん・黒木さんは、今回グッズをつくってみて、ものづくりの楽しさを感じられた瞬間はありましたか?

平峯 「こんなものができたらいいな」の漠然としたイメージが形になったときは、すごく感動しました。デザインフィルさんが同じような思いや熱量でこだわってつくってくださったからこそ、ここがちょっとな…みたいなところが一つもない、とても良い商品ができたと思っています。
はじめは自信がなくて、売れないんじゃないかと不安な気持ちもありましたが、SNSや劇場内で、みんなが「いい!」って言ってくださった反響も全部、モチベーションにつながりました。こんなにやってて嬉しいことがあるんだな、と感動しています。

黒木 私たちはいつも、形のないものをお客さまに販売しているんですよね。その中で、今回形のあるものをつくることが、とても新鮮でした。遮光ポーチは、形のない“観劇の時間”を大事にすることから生まれた、形あるものだなと。
お客さまのかけがえのない時間を思い、大切にすることが、お客さまに伝わり喜ばれる。この愛の循環みたいなものが感じられて、とても嬉しかったです。

───最後にメッセージをいただけますでしょうか。

平峯 これからも、楽しみながら何かをつくることは続けていきたいです。そして、お客さまが大切にしていらっしゃる観劇の時間を、大事にする姿勢を持つ劇場でありたいと思っております。博多座ともども、これからも愛していただけるように頑張ります。

平峯 「こんなものができたらいいな」の漠然としたイメージが形になったときは、すごく感動しました。デザインフィルさんが同じような思いや熱量でこだわってつくってくださったからこそ、ここがちょっとな…みたいなところが一つもない、とても良い商品ができたと思っています。
はじめは自信がなくて、売れないんじゃないかと不安な気持ちもありましたが、SNSや劇場内で、みんなが「いい!」って言ってくださった反響も全部、モチベーションにつながりました。こんなにやってて嬉しいことがあるんだな、と感動しています。

黒木 私たちはいつも、形のないものをお客さまに販売しているんですよね。その中で、今回形のあるものをつくることが、とても新鮮でした。遮光ポーチは、形のない“観劇の時間”を大事にすることから生まれた、形あるものだなと。
お客さまのかけがえのない時間を思い、大切にすることが、お客さまに伝わり喜ばれる。この愛の循環みたいなものが感じられて、とても嬉しかったです。

───最後にメッセージをいただけますでしょうか。

平峯 これからも、楽しみながら何かをつくることは続けていきたいです。そして、お客さまが大切にしていらっしゃる観劇の時間を、大事にする姿勢を持つ劇場でありたいと思っております。博多座ともども、これからも愛していただけるように頑張ります。

\ デザインフィル担当チームより /

デザイン担当・山本(写真左)
博多座さんらしく上品に仕上がるように、たくさんの生地と糸色から、悩みこだわって素材を選びました。すてきなポーチが仕上がって大変嬉しいです。
営業担当・小林(写真中央)
担当営業としてはもちろん、一観劇ファンとしても絶対に実現したいと思ったご依頼でした。ユーザー様にも好評とのことで嬉しいです。
生産担当・市川(写真右)
遮光生地を探すところから始まり、チャレンジが多かったアイテムでした。生産現場からの様々な提案もあり、最終的にとてもいいものに仕上げられました。頼りになる協力工場にも感謝です。

\ デザインフィル担当チームより /

デザイン担当・山本(写真左)
博多座さんらしく上品に仕上がるように、たくさんの生地と糸色から、悩みこだわって素材を選びました。すてきなポーチが仕上がって大変嬉しいです。
営業担当・小林(写真中央)
担当営業としてはもちろん、一観劇ファンとしても絶対に実現したいと思ったご依頼でした。ユーザー様にも好評とのことで嬉しいです。
生産担当・市川(写真右)
遮光生地を探すところから始まり、チャレンジが多かったアイテムでした。生産現場からの様々な提案もあり、最終的にとてもいいものに仕上げられました。頼りになる協力工場にも感謝です。

おすすめの記事

メールマガジン

ものづくりのおはなしや、新製品に関する
最新情報をいち早くお届けします。

くわしくはこちら